矯正治療のはなし

日本矯正歯科学会認定医 工藤 泰裕

民間療法 その2

その1の続きです。初めての方は過去記事を参照してください。

 

矯正歯科医院では、検査資料をきちんと分析します。

原因はどこにあるのか、現在の問題点をあらいだします。

 

本症例の原因は、上顎の前歯の傾斜角度が内側に傾斜したことで、反対咬合になっていました。さらに、口を開いたところから閉じるまでの過程で、内側に傾斜した上顎の前歯一本と下顎の前歯一本どうしが早期接触していました。咬む力はこの二本の歯に集中するため負担過重になります。この様な機能的障害は解消する必要があります。

 

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早期接触による歯の負担過重

 

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人間は、負担過重の歯を守ろうと無意識に下顎を前に出し、早期接触を回避します

(早期接触による下顎の前方誘導)。

 

自ら安全な位置をとろうとした結果、反対咬合で咬むのです。

 

この時、下顎が前に出たことで、顎関節部の関節の隙間は通常のそれより広くなっています。この広くなった状態は下顎の過成長を誘発する要因となるため、適切な時期に適切な方法で解消する必要があります。

 

ここまでの記事は矯正歯科学に基づいた正しい矯正治療についてお話しています。

 

テーマは民間療法。アイスの棒(へら)や柔らかい変なものを咬ませるなどの、呪術的療法でした。現在もこのような方法を採用したり、いろいろな製品が販売されているのも事実です。

 

矯正歯科認定医はちゃんと治します。

 

次回に続きます。

 

 

工藤歯科・矯正歯科医院