矯正治療のはなし

日本矯正歯科学会認定医 工藤 泰裕

民間療法 その3

今回が、シリーズ最終回です。

 

あやしい「療法」については、その1でお話ししました。

読んでいない人は過去記事を参照してください。

 

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上顎の前歯の傾斜角度を外側に角度修正し、早期接触を除去します。

(過去記事その2参照)

 

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歯の傾斜を修正すると、下顎の前方誘導がなくなり顎の開閉運動は

スムーズになりました。

 

顎関節部分の隙間も通常の幅に落ち着きます。

 

結果として反対咬合は改善され、一期治療の目的は達成されました。

(一期治療は成長期に、二期治療はそれ以降に行う治療)

 

本症例で使用した矯正装置は舌側弧線装置、

反対咬合の改善は1か月で達成されました。

 

その後、定期的に観察し永久歯の萌出(ほうしゅつ)をまちます。

 

永久歯が生えそろった段階で再評価し必要に応じて第二段階に移行します。

 

本症例は、きちんと永久歯の交換がおこなわれ、

歯の凸凹もなかったので第二段階の治療はしませんでした。


まとめ

 

矯正歯科認定医は効率の良い治療を施します。

 

すなわち、正確な診断をくだし、適切な時期に適切な治療を行ないます。

結果的に矯正装置の使用期間を短縮できたり、

本人の負担を最小限にすることができます。

 

本症例の場合、あのまま反対咬合を放置していたら、

顎関節部の下顎骨側の骨成長が促進され、

後に治療が困難になっていた可能性があります。

 

今回のテーマ「民間療法」について3回にわたりお話してきました。

 

アイスの棒やウレタン製の器具を咬ませるなどの方法のことです。

 

その意味で治療効果の曖昧な床矯正装置や拡大装置の安易な使用もまた

避けるべきでしょう。

 

反対咬合症例の場合は治療時期の見極めが大切ですので、

信頼のおける歯科医師に相談すると良いでしょう。

 

このシリーズはこれで終了します。

 

次回は「乳歯から永久歯へ交換」についてお話しします。

 

工藤歯科・矯正歯科医院