矯正治療のはなし

日本矯正歯科学会認定医 工藤 泰裕

矯正用の小さなゴム

正治療をするうえで「歯を抜く」ことがある。というのをご存知でしょうか。 

 

レントゲン分析、模型分析、抜歯分析などのを考慮して抜歯・非抜歯の診断をします。

 

抜歯・非抜歯の判定で明らかに抜歯、明らかに非抜歯というものと、ボーダーラインに

 

あるものがあります。わたしはボーダーラインの場合、非抜歯を選択します。

 

いっぽう、明らかに抜歯のものを非抜歯で治療することはありません。

 

なぜなら不正咬合は「バランスを欠いた状態」。抜歯をすることでバランスをととのえ

 

る必要があります。もし、抜歯をしないで無理やり非抜歯で治療したとします。

 

もっとバランスが悪くなって、治療は成り立ちません。

 

今日の症例

 

成人、上顎の前突感を気にして来院されました。

 

診断の結果、非抜歯と判定、マルチブラケット治療をはじめました。

 

【初診時口腔内写真】

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 【動的治療終了時】

マルチブラケット治療の期間は1年8ヶ月、保定に移行しました。

 

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歯や顎を動かす力のことを「矯正力」と言います。

 

マルチブラケット治療の矯正力の主力は針金(ワイヤー)の弾性力です。

 

また必要に応じて、小さな矯正用の輪ゴム(直径5mmほど)を使用します。

 

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本症例では、ある一定の期間、上顎の犬歯と下顎の臼歯の間をゴムで連結しました。

 

ゴムは取り外しが可能で、毎日新しいゴムと交換します。

 

上下歯列の差は、ゴムの矯正力で修正され、出っ歯の感じがなおっていきます。

 

正治療の治療期間は平均1年半から2年を想定しています。ひと月に1~2回受診

 

し、矯正装置の調整をします。必要に応じ一定期間、小さなゴムを併用します。

 

指示どおりに使用してください。

 

歯を動かした治療のあとは、歯を安定させる保定期間に移行します。治療後の写真は

 

「保定装置」を外して撮影しています。取り外し式の装置ですが、普段は付けていま

 

す。

 

 

工藤歯科・矯正歯科医院