反対咬合の怖い話し
タイトルの「反対咬合の怖い話し」とは何か。実例を紹介します。
今回は反対咬合が改善した後、また反対咬合になった例を取り上げます。怖いですね。
症例は小学1年生、女子
反対咬合を気にして来院されました。
通法に従い、検査・診断をします。
本症例の反対咬合の原因は、
上顎骨の劣成長と下顎骨の過成長でした。
◎初診時口腔内写真(小学1年生)
いわゆる、骨格的反対咬合症例で、横顔にも反映しており顎がしゃくれた感じです。
◎第一段階 咬み合わせの改善時(小学2年生)
咬み合わせは改善され、観察に移行します。
観察中のポイントは以下のとおりです。
①むし歯、歯肉の状態
②永久歯交換の状態
③顎の成長の状態
④その他
◎観 察(小学4年生、5月撮影)
次に示す写真は観察期間中の全身成長に伴い、下顎が出てきて再び反対咬合になった時
の口腔内です。
検査、再評価し、適切な処置を施します。
◎観 察(小学4年生、翌年1月撮影、正面写真なし)
再び、咬み合わせは改善されました。
その後、およそ2年観察しました。
やはり、成長に伴い下顎が出てくる傾向がありましたが、次に示す写真のように
下顎はギリギリ踏みとどまりました。
◎第二段階(中学1年生)
検査、再評価をして、第二段階の治療をします。
第二段階の目的は機能的咬合の確立です。
診断の結果、非抜歯、マルチブラケット治療を開始しました。
◎動的処置終了時の写真(中学3年生)
マルチブラケット装置を外して保定に移行します。
今回のテーマは、「反対咬合の怖い話」でした。
反対咬合は成長にともない、悪くなる可能性があります。もし、この子が矯正治療をし
ていなかったら、もし、この子が誤った矯正治療をしていたら、想像してください。
中学生になった頃には相当悪くなっていた事でしょう。
本症例はわたしの観察下にありました。いずれも想定内の出来事で、その都度適切な対
応をしています。反対咬合を甘く見てはいけません。矯正歯科認定医の知識と技量と経
験でもって管理していく必要があります。