仕上がりを予測する・先天欠如の場合
歯の先天欠如はそれ程珍しいことではありません。(統計データは他に譲ります)
先天欠如、すなわち歯がないこと自体は問題となりません。問題は歯がないことで隣り
合う歯が傾斜したり、傾斜した結果、咬み合う歯と不良な接触が生じることがあること
です。今回は、そんな話題です。
さて、次に示す写真のうち、正面の写真で、上の歯に注目してください。
中切歯(大きい前歯)が一本とその両側に側切歯(小さい前歯)2本あります。
わかりますか。右上中切歯(大きい歯)が一本ない状態、先天欠如です。
(向かって左)
初診時口腔内写真
初診時の歯の生え方は乳歯と永久歯が同居している状態、混合歯列期の時期です。
通法に従い、検査・診断をします。
この症例の全体像は、「上顎前突傾向で歯の凸凹がありながらも、右上中切歯が先天欠
如している」状態でした。
治療計画は
第一段階:永久歯交換の誘導
第二段階:機能的咬合の確立
動的処置終了時の写真
歯並び・咬み合わせをどう「仕上げる」かは、診断の時に決めておきます。
この症例は、
上顎の前歯は3本であるのに対し、下顎の前歯は4本ですので正中があわないのは想定
内です。また通常、第一小臼歯の抜歯は左右対称的に行われますが、この症例の場合は
違います。特殊な抜歯パターンを採用しています。
術後の写真をじっくり見直してください。実は、歯の先天欠如症例は以前このブログに
登場しています。
過去記事「矯正相談」を参照してください。あの症例は下顎の前歯2本が欠損していま
す。この様に歯の先天欠如があっても、きちんと矯正治療をすることで審美的かつ機能
的に回復させることが出来ます。