矯正治療のはなし

日本矯正歯科学会認定医 工藤 泰裕

顔が曲がっている。(顎偏位)

顎偏位(がくへんい)。下顎が横にズレて咬んでいる状態、顔もそれに伴って偏位して

 

います。下顎のズレの原因は次のことが考えられます。

 

・骨格的な原因として、下顎の骨が変形している場合。

 

・機能的な原因として、歯の不良な接触で下顎が誘導される場合。

 

本症例は後者が原因でした。

 

すなわち、上顎歯列が狭いことで下顎歯列と咬み合わせが調和せず、咬もうとすると横

 

にズレるタイプでした。

 

症例は初診時年齢17歳、女子

 

【初診時口腔内写真】

 

上顎に対し、下顎が向かって左にズレています。(本人の右)

 

顔もそちらに曲がっています。

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【初診時マーク入り】         

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わかりやすくするため、同じ写真に3ヶ所マークを入れてみましょう。

 

正中のズレはわかりますね。臼歯部について説明します。向かって右が正常な関係、

 

上の歯列が外側にあるのが正常です。向かって左は、上が内で下が外、逆転していま

 

す。通法に従い、検査・診断をします。

 

①上顎歯列の拡大

②抜歯、マルチブラケット治療

 

上顎歯列の拡大をはじめます。

 

【上顎歯列の拡大終了時】

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写真は口を開けたところではありません。これで咬んでいます。

 

上顎歯列の拡大により、上下臼歯部の咬み合わせが変化し側方歯部、前歯部が開いてき

 

たのです。これは想定内であり、目的をもってここまで拡大しています。

 

マルチブラケット治療を行う前提であれば、ここまで咬み合わせが変化しても対応でき

 

ます。わかりやすくするため、同じ写真に3ヶ所マークを入れます。

 

【上顎歯列の拡大終了時 マーク入り】

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下顎が本来の位置にもどってきました。正中が一致し上下臼歯部の関係が対称的になり

 

ました。ここまでの準備をしてからマルチブラケット治療に移行します。

 

 

【マルチブラケット治療終了時】

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審美的かつ機能的な歯並び・咬み合わせをつくることができました。

 

ここまで、振り返ってみましょう。

 

【初診時】

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 【上顎歯列の拡大】        

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【マルチブラケット治療終了】

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顎偏位は解消され、機能的な咬合を確立しました。もうこの女性の顔は曲がっていま

 

せん。左右対称でバランスのとれたとても綺麗な顔をしています。

 

 

わたしは、このブログで矯正治療の可能性についてお話しています。

 

自分の歯を移動させることで、美しい歯並び・咬み合わせ、そして顔を手に入れること

 

ができます。差し歯などによる手法とは一線をかくします。

 

歯並び・咬み合わせを気にしている方は、日本矯正歯科学会認定医にご相談ください。

 

 

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