矯正治療のはなし

日本矯正歯科学会認定医 工藤 泰裕

大人の矯正治療

ここ最近、当医院では40才以上の女性の矯正相談が増えています。

 

子育てが少し落ち着いた。

今まで気になってはいたけれど、矯正治療の機会がなかった。

理由は人それぞれでしょうが、ようやく矯正歯科医院にたどり着きました。


矯正相談では現在の状態、治療方法、治療効果などひと通りの説明をします。

正治療は子どもだけのものではありません。大人も積極的に矯正治療をする時代です。

 

【初診時】

 

この方は、二人の中学生をもつ主婦です。初診時の年令は36才。

 

今まで気になっていた歯並びを、ようやく治すことにしました。

          

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このブログでは、矯正治療上の技術的な解説はあまりしていません。装置の写真、途中経過の写真もありません。この点において、歯科関係者は物足りなさを感じるかもしれません。

 

装置の製作方法や針金の曲げ方、歯を移動させるテクニックなどは術者側の問題であって、患者さんにとってはどうでもいいことで、ご本人の関心事はもっぱら自分の歯・顎・顔が治るのか治らないのか、治った場合どう治るのかにあると、私は考えています。

 

【治療後】

 

治りました。

 

私が施術するマルチブラケット治療の治療期間は、18ヶ月から24ヶ月です。

 

写真はマルチブラケット装置を外し、保定に移行した時のものです。撮影の都合上、保定装置を外していますが、当面の間は装着します。

 

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歯並び・咬み合わせが悪い場合のデメリットはいろいろいわれていますが、ひとつだけ私の経験を紹介します。

 

はじめに、本症例とは関係がないことを、ことわっておきます。

 

一般歯科からの紹介で当医院に来院した成人の患者様です。拝見したところ、上下歯列の凸凹が顕著で、右下の二番目の前歯がかなり内側に傾斜していました。こういう場合、舌には歯の形に添って圧痕がありますが、その症例は潰瘍になっていました。凸凹の歯が慢性的刺激となって、舌組織を犯していったのでしょう。

 

解決の方法はいくつかあります。私の得意分野である矯正治療による歯並びの改善。

正治療をやらないのであれば、原因歯の形態修正か抜歯を提案しました。

 

後日、紹介元の先生に伺ったところ、抜歯を選択、その後、舌の潰瘍は消退したいうことでした。

 

口腔内の慢性的刺激には、歯列の不正、むし歯による歯の崩壊部、あわない入れ歯などがあります。最近では舌ピアスも挙げられると私は考えています。

 

いずれにせよ、歯並び・咬み合わせは治しておいた方が良さそうです。