矯正治療のはなし

日本矯正歯科学会認定医 工藤 泰裕

異所萌出

歯が変なところから生えてきました。

上顎の前歯がご覧の状態です。異所萌出と言います。

これも矯正歯科の仕事です。

 

通法に従い検査資料を採り診断します。

 

【初診時】

 

9才 男子

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【初診時レントゲン写真】

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過剰歯が邪魔になり、歯が方向を変えています。

 

 

【誘導完了時】

 

歯列への誘導が完了しました。


写真では一瞬で治っていますが、装置を付けて弱い力で少しずつ牽引します。

6ヶ月かけて歯列に誘導しました。

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このあとは他の永久歯交換、顎の成長を観察します。

 

【永久歯萌出】

 

14才

 

この時点で再検査して、第二段階の治療をはじめます。

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【マルチブラケット終了時】

 

動的処置 12か月

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保定に移行します。

 

【別な症例】

 

12才 女子

 

向かって右(本人の左)の第二小臼歯が変なところから生えてきました。

しかし、今は何もする必要はありません。観察します。

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私は先行する乳歯を抜けば、ある程度のところまで自然に軌道修正して生えてくると予測しています。紹介元の医院に乳歯の抜歯を依頼しました。本人には数か月後に受診するように指示しています。

 

異所萌出の場合、その一本にとらわれることなく、全体を見る視野が必要です。

本症例の場合、全体像としては反対咬合の傾向があります。また、上顎の二番目の歯が円錐形をしています。これらの条件を前提に、将来の歯並び・咬み合わせをどう仕上げるかイメージしておき、いつ何をするか考えます。

 

この症例は現在も観察中です。経過は追って報告する予定です。

 

 

工藤歯科・矯正歯科医院