矯正治療のはなし

日本矯正歯科学会認定医 工藤 泰裕

将来を予測して計画的に治す

はじめは本症例の模型、時期は初診と第一段階後です。

 

上顎前突症例には、前歯が出ているタイプと前歯がとび出ない代わりに咬み合わせが深くなるタイプの二種類があります。本症例は後者です。両者とも上下顎の歯列が前後的にズレているという点では共通しています。

 

臼歯関係を見やすくするため、6才臼歯にマークを入れました。

 

初診時

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 初診時の上顎臼歯は前に、下顎臼歯は後ろに位置しています。

これは上顎前突の傾向を示すものです。

 

第一段階後

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 一致、または逆転しています。上顎臼歯は後ろに、下顎前歯は前へと変化しました。

 

私は第一段階の治療で歯列のズレを治しました。

 一定期間、上顎臼歯に矯正力を作用させます。年齢、歯の萌出状態などの条件が必要ですので、ご相談ください。

 

【初診時】

 

先に示した模型と同時期の口腔内写真です。

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 この写真では確認できませんが、臼歯関係は模型の通りです。

 

【第一段階後】

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 臼歯関係は先に示した模型の通りです。

臼歯関係を改善させただけで、側方歯の凸凹も解消されました。

これから、マルチブラケット治療を始めます。

 

【マルチブラケット治療終了時】

 

治療期間 1年10ヶ月

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 撮影の都合上、保定装置を外していますが普段はきちんと装着しています。

 

非抜歯による治療です。

歯列の凸凹は解消され、きれいな歯並びの完成です。もうひとつ注目すべきは咬み合わせ、下の前歯が見えないくらい咬み合わせが深かったものを浅く仕上げています。これにより顎運動はスムーズになり機能が向上しました。

 

私は矯正相談のとき、その症例の持つ特徴から将来の予測をします。じっくり、ゆっくり考えて、考えて、考えます。頭の中に映像として完成図が見えてきます。本症例であっても、はじめに診た時から治療後の映像が見えています。したがって、いつ何が必要で何が不要かの判断がつきます。矯正治療は計画的で理論的である必要があります。その場しのぎの行き当たりばったりでは治るものも治りません。

 

 

 

工藤歯科・矯正歯科医院