アンバランスからバランスへ
抜歯・非抜歯の判断は、先生の好みや流行りの治療で左右される性質のものではありま
せん。また抜歯が悪で非抜歯が善ということでもありません。学術的に正しく判定され
た結果が優先されます。この結果を無視し、抜歯症例を無理やり非抜歯で治療すること
が悪なのです。つまりこういう事です。
歯列または顎の骨が狭いという「数字としての根拠」がある場合「正常値になるまで」
拡大します。これは善。
狭くない歯列または顎の骨を非抜歯目的のため「正常値を超えて」拡大する。これが悪
なのです。バランスをもっと悪くするからです。
検査・診断の結果。
歯列・顎の骨の幅は正常値であり拡大の必要なし。
小臼歯の抜歯が必要と判定。
マルチブラッケト治療を開始しました。
【初診時口腔内写真】
【動的治療終了時】
マルチブラッケト装置を外した時の写真です。
わたしが施術するマルチブラッケト治療の治療期間は、およそ1年6カ月から2年で
す。途中、転勤や遠くへ進学するなどで通院に支障をきたすことの無いように治療時期
を考えましょう。
不正咬合の多くは、アンバランスな状態にあります。
本症例の場合、顎の大きさは標準的であるのに対し個々の歯が大きいため、歯が顎に収
まりきれない状態でした。歯の凸凹の量、横顔、口元など外観の情報とセファロ分析
(横顔のレントゲンの分析)の結果、抜歯することが、アンバランスを解く方法と判定
されました。このアンバランスをバランスへと誘導するのが矯正治療であると言えま
す。マルチブラッケト治療終了後は保定に移行します。写真では撮影の都合上、保定装
置を外していますが保定期間中は保定装置を装着します。