矯正治療のはなし

日本矯正歯科学会認定医 工藤 泰裕

口元を引っ込めたい

正治療をする動機は、人によって様々です。

 

八重歯を治したい。出っ歯だ。凸凹が気になる等いろいろです。

 

人によっては口元を引っ込めたいといった要望もあります。

 

【初診時】

 

17才 女性

 

それ程、歯列の凸凹はありません。

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頭部エックス線規格写真など、総合的に判断すると上下顎前突症例です。

 

セファロ分析では、下顎前歯が平均値に比べて前方6㎜に位置していました。上顎前歯を含めて全体として口元の突出感があります。

抜歯分析は抜歯判定です。

 

【治療後】

 

動的治療期間 23ヶ月

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歯を抜いたスペースを利用して、上下顎前歯を後退しました。

 

【重ね合わせ図】

 

頭部エックス線規格写真

 

初診                   治療後

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 実線:初診  点線:治療後


初診と治療後の頭部エックス線規格写真を比較します。

重ね合わせ図を製作することで、歯や顎の移動の様子が見てとれます。

 

下顎前歯は後退し平均値の位置にのりました。上顎前歯もそれに追従して後退させた結果、唇もさがりました。

初診時のオトガイ部(下顎の先)の皮膚は緊張し薄く張り詰めていましたが、丸みを帯び自然な感じになり、結果として横顔がきれいになりました。

 

この様に重ね合わせ図は治療効果を判定するうえで、多くの情報を提供してくれます。

一方で、重ね合わせ図から治療上の反省点も見えてきます。

私自身、あの時はこうした方が良かった、この歯はこう動いてほしかった、など気づくことがあります。自分の施した治療を検証することは、たいへん勉強になり次の治療に生かすことができます。


正治療の目指すところは、

きれいな歯並び、機能的な咬合、均整な横顔、ピカピカの自分の歯です。

正治療はいいですよ。