矯正治療のはなし

日本矯正歯科学会認定医 工藤 泰裕

矯正治療をする・しない

QOL(クオリティ・オブ・ライフ)という言葉を再確認してみましょう。

 

QOLとは、一般に、ひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた生活の質のことを指

 

し、つまり、ある人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を

 

見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念のこと。(Wikipedia

 

なんだか、わかったような、わからないような感じですが、このブログでは「人生や生

 

活の質」としておきましょう。

 

さて、ここで「不正咬合があるとQOLは低下し、矯正治療によってQOLは向上する」

 

と仮定してみましょう。実際はどうなのか。

 

わたしの症例で検証してみることにします。

 

 

初診時の口腔内写真

 

①向かって左(本人の右)に八重歯、

   

②上下とも凸凹の量が多い、

 

③前歯の一部が反対咬合、

 

④従って咀嚼効率がわるい、

 

⑤反対の部分に、上下の歯に不良な接触がある。

 

接触を回避しようと、下顎がわずかにずれる。

 

⑦このため、顎関節の動きにも影響があった。

 

 

通法に従い、審査・診断を経て、

 

正治療を開始します。

【初診時口腔内写真】

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わたしが施術するマルチブラケット治療の治療期間は平均1年半です。

 

ひと月に最低一回の通院が必要です。したがって転勤や進学などで転居する予定の方は

 

正治療を開始する時期に注意してください。

 

さて、ここで初めに仮定したことを確認します。

 

「不正咬合があるとQOLは低下し、矯正治療によってQOLは向上する、」

 

かどうかでした。

 

動的処置終了時の写真

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初診時にみられた問題点を整理します。

 

①向かって左(本人の右)に八重歯→解決した。

   

②上下とも凸凹の量が多い→解決した。

 

③前歯の一部が反対咬合→解決した。

 

④従って咀嚼効率がわるい→解決した。

 

⑤反対の部分に、上下の歯に不良な接触がある→消失した。

 

接触を回避しようと、下顎がわずかにずれる→消失した。

 

⑦このため、顎関節の動きにも影響があった→解決した。

 

 

ここまで明らかにしてきたように、初診時にあった、①~⑦までの審美的問題、機能的

 

問題は解消されました。この点において「矯正治療によってQOLは向上する」

 

と言っていいでしょう。また、①~⑦を未治療のまま放置することは、「不正咬合があ

 

るとQOLは低下する」とも言えるのではないでしょうか。

 

今回のブログでは、実際にわたしの症例を検証したところ、矯正治療の有効性が確認で

 

きました。ただ、矯正治療には高い技術が必要です。日本矯正歯科学会認定医による、

 

確かな治療が条件であることが大前提です。

 

 

工藤歯科・矯正歯科医院