矯正治療のはなし

日本矯正歯科学会認定医 工藤 泰裕

早過ぎてはいけない、遅過ぎてもいけない

子どもの反対咬合は、適切な時期に適切な治療をしなくてはいけません。

 

とくに横にズレるタイプは放置することのないようにして下さい。

 

全ての症例は検査資料を採り、診断をして治療方針をたてます。


今回は、小学3年生 男子 反対咬合症例です。

 

本症例の治療方針は

 

第一段階:上顎前歯の配列による反対咬合の改善

観  察:側方歯交換の誘導

第二段階:機能的咬合の確立

保  定:配列後の観察

 

治療は二段階に分けて、それぞれの時期に行います。

 

【第一段階】

 

小学3年生

 

反対咬合です。さらに、下顎が向かって左にズレています(本人の右)。

 

術者はズレの原因を正確に把握しておく必要があります。

 

それによって治療の方法が変わってきます。

 

第一段階の治療をはじめます。

 

この時点の目的は反対咬合を治すことです。

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【反対咬合の改善時】

 

2か月後の写真です。

 

反対咬合は改善されました。この時点で顎のズレも治っています。

 

第一段階の目的は達成されました。

 

その後は定期的に観察します。

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【観 察】

 

歯の生え変わりがきちんと行われているか。

 

再び反対咬合になりはしないか。

 

むし歯ができてはいないか。

 

定期的に観察します。

 

【第二段階】

 

中学1年生

 

全ての永久歯が生えそろいました。

 

歯列に凸凹があります。

 

この時点でもう一度、検査・診断をします。

 

マルチブラケット治療をはじめます。

 

第二段階の目的は機能的咬合の確立です。

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【マルチブラケット治療終了時】

 

動的治療期間は14ヶ月

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【初診と治療後の比較】

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綺麗で機能的な歯並び・咬み合わせです。

 

第二段階の目的は達成されました。

 

この後は保定に移行します。

 

撮影の都合上、保定装置を外していますが普段は装着しています。

 

【まとめ】

 

本症例は反対咬合に加え、顎の側方変位を併せもっていました。


もし放置したり、誤った治療をしていたなら、骨格的な顎変形症になっていたことでし

 

ょう。反対咬合の程度がつよくなるのにつれて、顔の外観はどんどん非対象になりま

 

す。適切な時期に適切に治療する必要があります。

 

治療の時期は早過ぎてはいけない、遅過ぎてもいけない、タイミングがあります。

 

あの人が言っていたとか、何かで聞いたことがあるなど。

 

自分で判断しないで、日本矯正歯科学会認定医に相談して下さい。

 

 

工藤歯科・矯正歯科医院